株式投資を始めるためには、まず証券会社の口座を開設する必要があります。証券会社はそれぞれ様々な独自のサービスを持っているため、「これが一番いい!」という最強の証券会社はありません。特に、ツールやアプリの使いやすさには個人差があります。
一方で、証券会社の口座開設はどこも無料です。つまり、開設しておいて損はないと言えます。
そこで、証券会社の強みをそれぞれ知った上で口座開設し、美味しいところだけを使う、という方法がベストです。
今回は僕が口座開設をした、株式投資をする上で必要なこと毎に強い証券会社を紹介し、それぞれどんな使い方をしているのかをご紹介します。
全部開設して証券会社の美味しいとこ取りをしましょう!
- 【取引】売買手数料最安水準の証券会社を使う
- 【取引】松井証券とライブスター証券の使い分け
- 【ツール】多機能の楽天証券はとりあえず持ち、好みのものは任意で
- 【NISA(ニーサ)】手数料無料が当たり前
- まとめ
【取引】売買手数料最安水準の証券会社を使う
同じ取引をするなら売買手数料が安いことに越したことはありません。一般的に、売買手数料は売買金額に応じて変わります。また、現物取引と信用取引で手数料が異なりますのでそれぞれ比較してみましょう。
現物取引手数料の比較
主要ネット証券の株現物取引手数料を10~100万円の場合で見比べてみましょう。この中では松井証券だけが1日の約定代金合計額で手数料が変わるので注意しましょう。
【国内株現物取引手数料(税抜)】
10万円まで | 20万円まで | 30万円まで | 50万円まで | 100万円まで | |
SBI証券 | 139円 | 185円 | 272円 | 272円 | 487円 |
楽天証券 | 139円 | 185円 | 272円 | 272円 | 487円 |
SMBC日興証券 | 125円 | 180円 | 250円 | 400円 | 800円 |
松井証券 | 無料 | 300円 | 300円 | 500円 | 1,000円 |
むさし証券 | 75円 | 95円 | 175円 | 175円 | 320円 |
ライブスター証券 | 80円 | 97円 | 180円 | 180円 | 340円 |
10万円以下の売買であれば松井証券が無料で最安です。一方で、10万円を超える売買になるとむさし証券、次いでライブスター証券で取引するのが良さそうです。
信用取引手数料の比較
続けて、主要ネット証券の株信用取引手数料を10~100万円の場合で見比べてみましょう。この中も現粒同様、松井証券だけが1日の約定代金合計額で手数料が変わるので注意しましょう。
【信用取引手数料(税抜)】
10万円まで | 20万円まで | 30万円まで | 50万円まで | 100万円まで | |
SBI証券 | 143円 | 143円 | 191円 | 191円 | 360円 |
楽天証券 | 250円 | 250円 | 250円 | 450円 | 450円 |
SMBC日興証券 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
松井証券 | 無料 | 300円
(無料) |
300円
(無料) |
500円
(無料) |
1,000円
(無料) |
むさし証券 | 75円 | 95円 | 175円 | 175円 | 320円 |
ライブスター証券 | 80円 | 80円 | 80円 | 80円 | 80円 |
信用取引では一変してSMBC日興証券の独壇場になっています。
松井証券は信用取引で当日中に反対売買まで完了する「一日信用取引(デイトレード)」をする場合に、手数料が完全無料になります。
次いでライブスター証券の80円均一が安価な手数料ですね。
現物取引と信用取引の手数料を総合的に考えると10万円までの売買は松井証券で、10万円を超える売買はライブスター証券で行うのが無難ですね。
【取引】松井証券とライブスター証券の使い分け
先にお話したように、手数料の点では、10万円までの売買は松井証券、10万円を超える売買はライブスター証券がおすすめです。
しかし、個別株を売買した場合、10万円以下で取得した銘柄が、売却時に10万円を超える可能性があります。松井証券でこの状況になると買った時は手数料が無料ですが売った時の手数料が300円になってしまいます。これでは「最初からライブスター証券で買ったほうが良かった」ということになります。
そこで、松井証券では売買代金を調節しやすいETFを取引することがおすすめです。
松井証券はETFの少額売買に使う
ETFは「Exchange Traded Funds」の略で、上場投資信託と呼ばれています。
これは、例えば日経平均株価などの指数の動きに連動する運用成果を目指し、金融商品取引所に上場している投資信託です。
わかりやすく言えば、株と同じように取引できる投資信託です。
- 簡単に分散投資ができる
- 普通の投資信託より費用が安い
- 値動きがわかりやすい
- 売買しやすい
といった特徴があります。
日経平均株価に連動するETFには「1321 日経225連動投信」などがあります。
他にもREIT(不動産)のETFや純金、プラチナ、原油といった商品のETFもあります。
ETFの良いところは株とちがって1口単位で売買できるところです。株は100株単位ですからね。
1口単位で売買できるので、1回の売買金額を調整しやすいのです。この特徴を利用して、1回の売買金額が10万円以下になるように取引すれば、時価を気にすること無く、松井証券の手数料無料を活かすことができます。
ライブスター証券は個別株の売買に使う
ライブスター証券はどの売買金額帯でも業界最安水準の手数料です。
ETFの売買は松井証券にお任せして、ライブスター証券に個別株の取引を集中させるのがおすすめです。
また、ライブスター証券では「売買シグナル」という独自の取引サポートツールがあります。これを使うと売買の判断がとても楽になります。
この点でも、手数料が数円安いむさし証券よりもライブスター証券を推したいですね。
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【ツール】多機能の楽天証券はとりあえず持ち、好みのものは任意で
ツールを使うためだけに証券会社の口座を開設します。
まず1つは使いやすいかどうかは別にして多機能のものを1つ持っておきましょう。
ツールの機能としてはあればある程いいです。また、投資家としてはこれぐらいの情報はすぐ見れるようにしておきたい。
- 株価情報
- 四季報情報
- 企業情報
- 株主優待
- テクニカル指標
- 適時開示情報
- 気配
そして、ツールで最も機能が多いものが楽天証券の「マーケットスピード」と「iSPEED」です。
特にこの「iSPEED」はスマホのアプリで、非常に多機能かつ優秀です。
楽天証券の「iSPEED」は持っておきたいアプリ
ネット証券会社はそれぞれアプリを公開しています。その中でも最も多機能なのが楽天証券の「iSPEED」でしょう。
個別銘柄に関する情報は群を抜いて豊富です。
銘柄サマリ・市況情報・銘柄ニュース・チャート・板情報・四季報・適時開示・業績・指標・業績予測・株主優待
これだけの情報がアプリ1つで見られます。
特に素晴らしいと感じる機能をご紹介しましょう。
チャートの機能が豊富
まずチャートで使える機能が抜群に多いです。
トレンド系の機能がこの6種。
- 単純移動平均線
- ボリンジャーバンド
- 一目均衡表
- 多重移動平均線
- 指数移動平均線
- VWAP
オシレーター系の機能がこの9種。
- 出来高
- RSI
- RCI
- 移動平均線乖離率
- MACD
- ストキャスティクス
- DMI
- サイコロジカル
- 標準偏差
特に移動平均線乖離率はよく使える上に、使えるツールがとても少ないです。このiSPEEDぐらいだと思います。
適時開示情報と株価の推移が一目でわかる
適時開示情報が見れるだけでもありがたいですが、iSPEEDはさらに、適時開示情報が公開されたタイミングでの株価の推移が一発で確認できます。
もちろん1タップで決算短信などの適時開示情報のPDFを閲覧することが可能。
業績の進捗と決算発表予定日がわかる
現在の業績の進捗が予想に対してどれくらいなのかがお天気マークでわかります。
ここから市場の業績の期待値を推測することができます。これがわかると「次の決算発表がこうなったら株価がこうなりそうだ」という予測を立てることができます。
これで決算発表も乗り越えられるでしょう。そして決算発表予定日も書いてあるのでポジションの整理もしやすいです。
株価と業績予想の推移がわかる
業績予想に対して株価がこれまでどう動いていたかが一目でわかります。
すると、市場の業績に対する期待値が推測できます。これも決算発表を乗り越えるための対策に使えます。
使いやすさには個人差があります
僕は楽天証券のiSPEEDが最高に使いやすいのですが、どのアプリやツールが使いやすいかは人によって違うところ。
多機能という点でiSPEEDは持っておきたいですが、自分が使いやすいものも別途持っておいてもいいでしょう。
それこそ実際に取引をする松井証券やライブスター証券のアプリは注文内容を訂正したり取り消したりする目的で持っておきたいですね。
【NISA(ニーサ)】手数料無料が当たり前
NISA口座は1人あたり1つしか開設することができない上に1年間は証券会社の変更ができません。
また、証券会社によっても手数料などで差がでます。
どこでNISA口座を開設するかを決める判断基準はこの2つ。
- 売買手数料
- 取扱商品
まず売買手数料が無料のところを選びましょう。これだけは譲れません。NISAで売買手数料が無料の証券会社はこの4つです。
- SBI証券
- マネックス証券
- 楽天証券
- 松井証券
ここまで足並みが揃えば、あとはNISA口座で買える商品の種類や多さで選ぶことになります。
まずNISAで買いたい商品を取り扱っていることが条件です。買いたい物が買えない証券会社でNISA口座を開設しても意味ないですよね?
そして取扱商品の多さで言うとSBI証券に軍配が上がります。
【NISA】手数料無料で取扱商品数が業界最多水準のSBI証券を使う
SBI証券のNISA口座は自由度がとても高く、選択肢が豊富です。
まず、売買できる取引所が東証・名証・福証・札証と、地方の証券取引所までをカバーしています。
海外のETFも購入手数料が無料です。
投資信託の取扱数もSBI証券は業界最多水準です。
ここまで選択肢が広い証券会社はなかなか無いと思います。
まとめ
株式投資家のうち約7割以上は複数の証券口座を持っていると言われています。平均すると3つの証券口座を開設しており、賢い投資家は各証券会社のいいとこ取りをして使い分けています。
どう使い分けるかをおさらいしてみましょう。
- 取引
- 売買代金10万円までのETF:松井証券
- 現物個別株:ライブスター証券・むさし証券
- 信用取引:SMBC日興証券
- ツール:楽天証券(iSPEED)
- NISA口座:SBI証券
概ね松井証券、ライブスター証券、楽天証券、SBI証券があれば十分だと思います。
まず手始めに少額でという方は、NISA口座だけで東証の個別株しか売買しないのであれば楽天証券1つに絞るのもアリでしょう。