ゼロから始める株式バリュー投資術

バリュー投資のノウハウメディア

突然の株安には守りの資産「金」で備えよ

スポンサード リンク

f:id:canopysand:20170901233649p:plain

戦争はもちろん、政治の不安定さや地政学リスクなど、世界経済は常に爆弾を抱えていると言っていいでしょう。

ここ1、2年だけでも

  • イギリスのEU離脱
  • イスラム国
  • ヨーロッパでのテロ
  • 北朝鮮のミサイル発射

など、経済にとってのストレスになる事態が起こっています。

リスクを取って資産を持っている者としては、常に不測の事態に備えた運用を心掛けるべきです。

では、具体的にどのような運用をすれば良いのでしょうか?

今回は、不測の事態に備えたポートフォリオ構成について考えてみます。

ポートフォリオ構成の指針となる資産の三大特性

まずはポートフォリオを構成する資産の特徴を示す次の三大特性を理解します。

  • 流動性
  • 安全性
  • 収益性

流動性

流動性とは、現金化のしやすさのことで、換金性とも呼ばれます。

流動性の高い資産は、預金やMRF・MMFです。株やFXも比較的流動性の高い資産です。

安全性

安全性とは、元本や利息の支払いに関する確実性のことです。

定期預金や国債などがこれに当たります。不測の事態が起こり、世界中がリスクオフの体制になったときに最も威力を発揮します。

収益性

収益性とは、資産価値を大きく殖やせるかどうかの度合いを言います。これを一番わかりやすく表現しているのが利回りですね。

三大特性の関係

流動性・安全性・収益性の全てにおいて最強の資産は存在しません。

特に安全性と収益性は相反するものです。収益性が高いものは安全性が低く、安全性が高いものは収益性が低いです。

また、運用効率を良くするために流動性が制限されます。

不測の事態に備えるためには安全性が鍵を握る

より高いパフォーマンスが出るように資産運用を行うには、流動性と安全性を抑えて収益性の高い資産を中心にポートフォリオを組みます。

わかりやすい例が、株式投資です。何も不安要素が無ければ、可能な限り資産を株に換えておきたいです。

しかし、これは諸刃の剣。不測の事態は突然やってきます。こうなると株価は下に大きく窓を開けて寄り付いたり、ザラ場で成行で売ったとしても思いもかけない安値で約定したりします。

しかも、こういう時は大抵全面安になるので、ポートフォリオが全滅するわけです。

この時頼りになるのが、安全性の高い資産です。株が下がる一方で、この資産はビクともしません。

そのため、平時から常に安全性の高い資産をポートフォリオに組み込んでおく必要があります。

ズバリ、守りの資産は金を持つべし

安全性の高い資産は預金や国債です。

しかし、これは良くも悪くも動かないのです。例え、一定の割合をポートフォリオに組み入れていたとしても、他の収益性の高い資産が下落した時にはその損失をカバーできません。

預金が動かず、株は下がる。確かに預金の部分は損しませんが、トータルではマイナスです。

本当は、株での損失をカバーできる資産が欲しいはずです。

つまり、株が全面安になるような緊急事態に価値が上昇する資産です。

 

金です。

金はリスクオフの時に上がる資産

それでは、金と日経平均の値動きを比較して見てみましょう。

f:id:canopysand:20170901224835p:plain

青線(1540.T)が純金上場信託、つまり金のETFです。赤色が日経平均株価。

縦軸が価格の変動率で、横軸が時間(2年)です。

これを見ると、金は横ばいです。そして日経平均が下げている局面では鏡写しのように金の価格が上昇しています。

特に2016年2月(マイナス金利導入)と2016年8月(世界同時株安)はその傾向が顕著です。

つまり、金は平時では価格は変動せず、株価が一気に下げた時に上がる性質を持っていると言えます。

また、最近では北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したことで株価が大きく下落する一方、金は年初来高値を更新しました。

金を買うにはETFがオススメ

 金の入手方法には、「純金積立」「ETF」「金貨」「地金、仏具など」の4種類があります。この中でもオススメは「ETF」です。

「守りの資産」の意味からすると、実物に投資する「純金積立」などが良いです。一方で、金のETFの中でも「純金上場信託」は実物の金と交換できる特徴あるのでこれも実物と考えていいでしょう。

さらに、ETFは株と同じように売買できる上に、NISA口座で非課税の取引が狙えます。

株取引になじんでいる人には、ETFが最適なのです。

手数料0円で金を買う方法

金は利子も配当もつかない上に、有事の時でなければキャピタルゲインは期待できません。

となると、手数料の存在感が株よりも大きくなってきます。これをいかに安く抑えるかがポイント。信託報酬の手数料が0.4%かかってしまうことは避けれないので、売買手数料がカギを握ります。

結論から言うと、「松井証券」で決まり。理由は2つです。

  • 1日の売買代金が10万円以下なら売買手数料が無料
  • 金のETFは1口単位で購入でき、相場は4,000円なので予算を10万円以下に抑えやすい

金は一度に買うのではなく、タイミングを分散して積み立てていくのが王道です。

1日あたり10万円分も購入できれば十分でしょう。

ポートフォリオへの組み入れ

金はどれだけ保有すればいいのでしょうか?

目安はズバリ10%です。

金はあくまでも「守りの資産」。収益性が低いので、資産における割合は多すぎてもダメなんです。

次に、購入するタイミングですが、やはりETFなのでサイコロジカルがオススメ。

サイコロジカルラインとは、計算期間(一般的には過去12営業日で計算)の中で、上昇した日数が何%になっているかを計算したテクニカル指標です。

これが30%以下になれば売られすぎと判断して、積み立てます。

特に金は長期で横ばいトレンドなので、トレンド系よりオシレーター系のテクニカル分析が有効です。

不測の事態は予測しないのが秘訣

当たり前ですが、不測の事態は予測できないので不測と言います。

株価が上がるか下がるかを予想するのではなく、どっちに転んでも良いように、常に先回りして手を売っておくのが賢い資産運用です。

資産運用は全力で収益を求めがちですが、守りの側面もあります。むしろ、いかに守るかの方が生き抜いていく上で重要ですね。