バリュー投資で成功するためには、どんな場合であっても必ず守らなければならない三大原則があります。
バリュー投資の3つの基本と言ってもいいでしょう。
それは次の3つです。
- 業績が良い
- PERが低い
- チャートの形が良い
この3つの条件を全て満たす株は、株価が確率的に下がりにくく、上がりやすいです。
この原則を忠実に守って投資していくことで、利益を着実に積み上げていくことができます。
この記事では、この三大原則について詳しくお話します。
業績が良い
一つ目の原則は「業績が良い」ことです。
ひと言で「良い」と言ってもどういったものが「良い」のかわかりませんよね?
そこで、良い業績の特徴を次の3つに分解します。
- 拡大
- 上振れ
- 持続性
拡大している業績
会社四季報などから、過去からの業績の推移を見て、それが毎年拡大していることを確認します。
例えば、【1723 日本電技】の会社四季報の業績欄を見てみましょう。
赤枠で囲った、売上高と経常利益の列に注目します。
営業利益ではなく経常利益を見る理由は、日経新聞の業績欄には売上高と経常利益が掲載されるので、これに合わせたほうが四季報と日経新聞とを見比べた時にブレが生じないためです。
さてこの業績欄、ざっと見ただけでもこれらの数字が年々拡大していることがわかります。こういった業績を「拡大している」と言います。
業績の上振れ
上振れとは、業績予想が上方修正されたり、予想に対する結果が上振れて着地していることを言います。
具体的には、次のような種類があります。
四季報欄外の矢印やニコちゃんマーク
決算短信の業績予想の修正
業績予想以上の決算着地
特に決算発表による上振れは株価が反応しやすいです。
中長期的には、株価は業績に合わせて動きますが、そこに上振れというサプライズが加わると、これが起爆剤となって一気に株価を動かします。この大きな変動こそが利益の源泉になるのです。
業績拡大の持続性
業績は持続的に拡大しなければ投資家としては困ります。中長期的には株価は業績に左右されるため、これが安定して伸びないと、株価も安定して上がらないからです。
安定して業績を伸ばし続けられるかどうかを知るにはその企業の定性分析が必要です。
具体的には、次のようなことを調べなければなりません。
- その会社はどんなビジネスをやっているのか?
- そのビジネスは5年後、10年後も通用するのか?
とは言え、いきなりそんなことを考えるのは難しいです。そこで1つのヒントになるのが利益率です。
利益率が高いと、独自の強みを持っている可能性があります。
目安としては売上高に対して、10%の経常利益率です。これだけあれば利益率は高いと言えます。
PERが低い
二つ目の原則は「PERが低い」ことです。
PERとは株価収益率とも呼ばれ、次の式で計算します。
PER = 株価 ÷ 一株益
PERは株価の割安さを表す指標として使われます。
株価は株の購入代金、一株益はその株が1年で生み出す利益ですから、PERは何年で購入代金を回収できるか、ということを表しています。PERの単位は「倍」です。
PER10倍以下がメド
さて、PERが低いというのは具体的にどれくらいかという話をします。
日経平均株価のPERは大体15倍ぐらいを推移しています。これを基準に考えると、PERが10倍以下が割安だと判断できる1つの基準になります。
高成長株はPER20倍以下がメド
一株益が3~5年で今の2倍になるような高成長株の場合を考えます。
この株のPERが現在20倍だとします。この㈱は3~5年で一株益が2倍になるので、株価が変わらなければ、将来のPERは10倍になります。
こう考えると、高成長株に限ってはPERが20倍でも割安だと言えます。
では高成長株ではない株は将来のPERを考えないのか、という疑問が浮かびますよね? そのような株は、一株益が急増しないので、長期的に見てもPERも急落しないだろうと考えられます。つまり、高成長しない株は今も数年後もPERは15倍が妥当だと判断しているのです。
結局、PERが低いとは?
まとめると、「PERが低い」とは次の2パターンが該当します。
- PERが10倍以下
- 3~5年で一株益が2倍になる高成長株で、PERが20倍以下
PERを判断する時のその他の基準
ここまではあくまでも日経平均株価のPERを基準にしたときの考え方。
他にも次のような基準があります。
- その業種の平均PER
- その銘柄の平均PER
業種別の平均PERを見るにはモーニングスターの「東証1部業種別データ」が便利です。このページには東証一部に限った情報ですが、業種別の平均PERを知ることができます。
個別銘柄の平均PERは会社四季報に高値平均と安値平均が掲載されています。
安値平均のPERで買って、高値平均のPERで売る戦略が考えられますね。
チャートの形が良い
三つ目の原則は「チャートの形が良い」ことです。
これはすなわち、次のように株価の動きが上昇トレンドにあることを意味しています。
このチャートは上昇トレンドの始まりから終わりまでを描いています。
これのどこからどこまでが上昇トレンドなのでしょうか?
それを見極めるためには上昇トレンドの条件を知らなければいけません。その条件とは次の3つです。
- 移動平均線が上向き
- ローソク足(赤や青の縦棒)が移動平均線の上にある
- チャートの波が上向き(底値を切り上げ、高値を更新している)
移動平均線が上向き
このチャートは1本のローソク足が1週間の値動きを表す週足チャートです。
その動きに合わせて、緑・赤・青の線が滑らかに引かれています。これを移動平均線と呼びます。
色によって線の名前が異なります。
緑が13週移動平均線。
赤が26週移動平均線。
青が52週移動平均線。
例えば、13週移動平均線は、その週から過去13週分のローソク足の終値の平均値を線で結んだものです。
さて、上昇トレンドにある時はこれらの線が、全て上を向きます。
これが上昇トレンドの第一条件です。
ローソク足が移動平均線の上にある
ピンクで網掛けしている部分が、ざっくり見てローソク足が13週移動平均線の上にある範囲です。
移動平均線の計算式より、線の上にローソク足があれば、線は必ず上を向きます。
いわば、移動平均線の上は安全地帯。このエリアにローソク足がある間は安心して株を買ったり持ったりしていられます。
これが上昇トレンドの第二条件です。
チャートの波が上向き
上昇トレンドにある株では、株価は上下動しながら上昇していきます。
青い補助線を波の底に引き、赤い補助線を波の頂点に引いたものが上の図です。
これを見ると上昇トレンドの間は、青い線、すなわち底値を徐々に切り上げつつ、赤い線、すなわち高値を更新していることが分かります。
特にこの青い補助線を引いた箇所を押し目と呼び、この株の買いチャンスになります。
この、波が上下動しながらも上向いている形こそが、上昇トレンドの第三条件です。
まとめ
改めて、バリュー投資の三大原則をおさらいしましょう。
- 業績が良い
- PERが低い
- チャートの形が良い
どんな銘柄であっても、どんな時であっても、この原則に立ち返って株の取引を検討することが成功するために大事なことです。
この基本を踏まえつつ、補助的に知識を付けていって投資家として実力を高めていきましょう。