相場の分析の手法にはファンダメンタルズ分析とテクニカル分析があります。
覚醒する大円高には徹底的な、そして独特のテクニカル分析により、何がいついくらになるのかという相場予測の方法が記されています。
この記事ではその「覚醒する大円高」の概要と感想をお話しします。
私はこうして相場をとらえている
マーケット関係者のあいだで「絶対に」という見方が大勢を占めるようになったときは、まず疑ってかかるべきである。
これは本当にそうだと思います。
例えばブレグジット。賛否の割合が50:50だという状況にも関わらず、世間では絶対にEU残留だろうと言われていました。結果は真逆でしたね。
例えば米国大統領選挙。始まる前からずっと絶対にクリントンが勝つと言われていました。しかし直前から形勢は互角になり、いよいよトランプが勝って大統領になりました。
アナリストのコンセンサスを始めとして、誰の予想もアテにはならないのです。
私はこうして相場と対峙している
儲かっているときは徹底的に儲けに走るのではなく、適当なところで止めておく。相場はなくなるものではない。明日も相場はある。また儲ければよいだけの話だ。
短期的に一気に儲けようとするのは日本人の癖です。
天井で売らなければ気が済まない。売った後に値上がりすることを極端に悔しがります。そして一旦下がるとそれまでの高値に戻ったら売ろうなどと考える癖があります。
言われて見れば確かに、なぜ1回きりの勝負で勝とうとするのでしょうか?
勿体無いの精神が足を引っ張っています。
相場が一気に走り出すのは、すべて損切りの力によるものだ。
……
相場は常に少数派にとって有利に動くものなのである。
ロスカット狩りという言葉があります。多くの人がロスカットにしているであろうラインで一気に仕掛けてロスカットを巻き込み利ざやを抜く方法です。
損切りは基本的に成行です。損切りは素早く行わないと損失が膨らむのですぐに約定できる成行注文にする人が多いと思います。
決済売りと新規売りは同じ影響を相場に与えます。なのでみんなが一斉に損切りすると相場は急落します。
ロスカットラインを意識すると、どこから値動きが加速するのか予測することができます。
そし自分が損切りするときも落ち着いていることです。
手がつけられないほど大きくやられた場合は、腹を括って、自分がとっているポジションが正しいかどうかをしっかり見極めるようにする。
悪材料が出ても、パニックになる必要はありません。仕方ないのでやられればいいです。慌てて対処すると失敗します。必ずしもスピーディな対応が言い訳じゃないんです。
「1回で決めてやろう」と思わず、「また書い直して挑戦すればいいや」ぐらいの気持ちで手仕舞いしてしまいましょう。
相場は神意に基づいている
相場の本質とは、ただたんに相場観に則り、無機的、機械的に行なうものではなく、実は人間の存在そのものと真正面から正対しつつ、これをどう克服していくかという作業である。
チャートの向こう側には常に相手がいます。相場の世界は勝負の世界なので、この存在を意識することは大切ですね。
あなたが今見ているチャートの画面は、他のみんなも見ています。
これって案外気が付かないんですよね。そのチャートを見て、ポジションを持っている人はどんな気持ちだろうか? 一方、ポジションを持っていない人はどんな気持ちだろうか? ということを想像しなければなりません。
例えばローソク足が移動平均線を割った時。その移動平均線はその期間の平均約定価格に等しいと考えられますから、半分以上の人は含み損を抱えていると想像できます。
そこから更に下げるような格好になった場合、ロスカットしたくなりますよね?
そういった、画面の向こう側のプレイヤーの考え、感情を意識してトレードしなければ相場の荒波に巻き込まれてしまいます。
われわれが相場予測をするに際しての立場は、「もうすでに決まっているものをいかにして発見するか」ということになる。
これは人間の運命や相場は神意で決まっているのではないかという考え方を前提にしたときの相場予測の姿勢です。
もし相場が、例えば100年も前から決まっているのだとすれば、その相場を発見するための手段としてチャートやテクニカル分析の手法があるのではないか、と考えられます。
また、テクニカル分析の1つにエリオット波動という理論があります。
これはフィボナッチ数列を使った考え方で、大自然のエネルギーによる美しい形にチャートの形は近似するという理論です。
例えば、ひまわりの種が花にびっしりと詰められるのはフィボナッチ数列の法則に従っているからです。フィボナッチ数列は自然界の力によって生まれた法則なのです。
まとめ
この本は若林栄四さん独自の黄金分割理論で相場の「時期と水準」を具体的に解き明かし、いついくらになるのかを予想する手法を解説するものです。
しかしながら、この本で述べられている「いついくらになる」という予想。
まるで当たっていない。
黄金分割とか重要数字とか一生懸命経験則などから導きだされてはいますが、伝説のディーラーの力を持ってしても、向こう1年の予測は外れてしまうようです。
これを読んで、僕は思うんです。
短期的に相場予測するほど無駄なことはない。
当てなくていいと思います。
相場についていきましょ。
でも相場と向き合う姿勢はすごく参考になりました。